ポリスビデオシリーズ比較
ポリスビデオシリーズは無駄なく必要な機能をコンパクトなボディーに搭載し、証拠撮りに最適な録画装置として調査業務のプロフェッショナルに人気のモバイルレコーダーだ。今回はポリスビデオの現行3機種を比較検証してみた。
ポリスビデオとは
ポリスビデオシリーズは某国の警察機構の要請により開発された可搬型録画装置(モバイルレコーダー)だ。 小型CCDカメラSVRシリーズ(※)の専用レコーダーとして設計されておりダイレクトに接続できる。SVRシリーズから出ているケーブルのピンジャック(イヤホン等に採用されているような細いケーブルとピンジャックだ)をポリスビデオ本体に挿せば、SVRカメラからポリスビデオへの映像・音声の伝送と、ポリスビデオからSVRカメラへの電力供給が同時におこなわれる。 ポリスビデオは極力シンプルに運用できる事をコンセプトの一つとしている。関係する要素が増え複雑化することは、それだけ不具合やミスを誘発する確率が上がることを意味するからだ。単純化はプロの使う道具としては当然の発想なのだ。
最初に発売されたのはポリスビデオ500(PV-500)だ。現在のポリスビデオ500HC(PV-500HC)との大きな違いはSDカードの対応が2GBまでとなっていたくらいで、この時点で既に非常に完成度の高いプロダクトだった(もっとも、メーカー「サンメカトロニクス」は製品の改良に余念がなく、小さな違いは枚挙にいとまがない)。 次にメイン記録メディアをハードディスクドライブ(HDD)として記録時間を大幅に延ばしたポリスビデオ1000(PV-1000)を投入。HDDを搭載することによってボディサイズは大きくなったが、大型ディスプレイと操作ボタンを搭載して扱いやすくなった。 続けてポリスビデオ700(PV-700)を発表。SDカードレコーダーとしてポリスビデオ500に近いサイズに、ポリスビデオ1000で好評だった操作系を引き継いだイイとこ取り的なマシンだ。 その後、対応メモリカードをSDHC規格としてポリスビデオ500HC(PV-500HC)、ポリスビデオ700HC(PV-700HC)、ポリスビデオ1000HC(PV-1000HC)とモデルチェンジし現在のラインアップに至っている。
※SVRシリーズは、SVR-41Nをベースに外装を変えてカモフラージュをほどこした秘匿性の高い小型CCDカメラだ。他にSVR-41HB、SVR-41HF、SVR-41NT、SVR-41Versatile、SNK-41がある。
ポリスビデオシリーズ比較検証まずはサイズと重量をチェック
サイズの違いだが左の写真を見てもらえば一目瞭然だろう。左から、サイズ比較用のタバコ、ポリスビデオ500HC、ポリスビデオ700HC、ポリスビデオ1000HCだ。
タバコサイズビデオレコーダーの別名を持つポリスビデオ500HCとポリスビデオ700HCはほぼタバコサイズだ。とくにポリスビデオ500HCはタバコの箱の中にすっぽり入ってしまうサイズだ。 タバコ程度のサイズならスーツやジャケットのポケットに楽勝で収まるだろう。重さもポリスビデオ500HCで89g、ポリスビデオ700HCでも130gだ。超軽量とは言えないが、いまどきの携帯電話も130gを超えるものが多いことを考えれば常時身に着けていても苦になる重さではないだろう。SVRシリーズのカメラとともにウェアラブルに使用するように想定されているのだから、当然といえば当然ではあるのだけれど。
ポリスビデオ1000HCは他2機種に比べグッとサイズが大きくなる。ポリスビデオ500HCとポリスビデオ700HCが採用するSDメモリーカードと、ポリスビデオ1000HCに搭載されるハードディスクドライブの大きさが比べ物にならないくらい違うからだ。 重さもポリスビデオ700HCの倍ある。このサイズと重量だとスーツやジャケットのポケットに入れるのはちょっと辛くなる。厚手のコートのポケットなら何とかなるだろうけど、夏場にコートって訳にもいかないだろうからポリスビデオ500HCやポリスビデオ700HCと比べると運用の自由度は限定される。基本的にはバッグ等に入れて使うことになるだろう。SVR-41HBと組み合わせて使えば外に余計なケーブルが出たりしないので便利だ。ウェアラブル的に使うならウエストバッグやベルトポーチ等を利用するのが良い。
バッテリーを比較するバッテリーは本体の大きさや重量に大きな影響を与えるパーツだ。またバッテリーの容量は駆動時間に直接的な影響を与える。要するにバッテリーが大きければ本体は大きく重くなるが、駆動時間は長くなる。バッテリーが小さければ本体は小さく軽くできるが、駆動時間は短くなる。
ポリスビデオ500HCのバッテリーは1.1Ahの容量を持つリチウムイオン電池だ。他の2機種の半分強の容量で、1時間程度の駆動時間を持っている。1時間の駆動時間は長くはないが運用しだいで何とかなる時間とも言えるだろう。
ポリスビデオ1000HCは2.0Ahとポリスビデオ500HCの1.1Ahから大幅に容量を増やしている。内蔵のハードディスクがSDカードよりも消費電力が大きいからだろう。仮にポリスビデオ500HCと同じバッテリーだとしたら、おそらく40~50分程度しか作動せず、それではハードディスクの大容量をまったく活かせずあまりにもバランスが悪い。そんな理由から2倍弱の容量となったのだろう。 105分駆動可能となっているが、この時間がハードディスクの容量とバランスが取れているかはともかく、モバイルで撮影する用途ならワンショットが110分を超える事は稀だろう。たいていは撮影の合間にバッテリーを交換して対応可能だと思う。そうそう、ポリスビデオシリーズには全て予備のバッテリーが付属しているのだ。
ポリスビデオ700HCはポリスビデオ1000HCと同じバッテリーを採用している。大容量バッテリーを積みながらポリスビデオ500HCと同じ消費電流だから駆動時間は120分と長い。ポリスビデオ500HCと比べて僅かしか大型化していないのに駆動時間が2倍になっていて非常に運用しやすい。バッテリーに関してはポリスビデオ700HCが文句なく1番だ。
使い勝手はどうだろうポリスビデオシリーズに共通しているのは運用のシンプルさだ。それはカメラの接続だけでなく、操作系にも表れている。
ポリスビデオ500HCの本体にはボタン類が必要最小限しか付いていない。本体の操作でできることは録画の開始と停止だけだ。映像を再生したりメニュー画面を出して設定を変更するには付属の赤外線リモコンが必要になる。これはデメリットでもあるけど考えようによってはメリットでもある。ポケットに入れておいたポリスビデオを手探りで操作して撮影を開始するような場合、録画以外の余計な動作ができないのなら失敗する可能性はかなり小さくなる。
ポリスビデオ700HCはポリスビデオ1000HC譲りの操作ボタンを搭載している。本体だけで全ての操作が可能だ。リモコンを忘れてきても現場で設定の変更や映像の確認に困らない。必要な機器を減らすという、ポリスビデオ500HCとは別の方向のシンプル志向だ。 たいていの操作はメニューを方向ボタンで選択し決定ボタンで実行という流れで行うことができる。取説の内容を暗記してなくても操作に迷うことはないだろう。ただし頻繁に使う重要な機能には専用のボタンが割り当てられている。メニューからの選択実行という操作はわかりやすい反面、目で確認しなければならないという欠点があるからだ。証拠撮りをしようって時にポケットから取り出して操作するわけにもいかないだろう。 ポリスビデオ700HCは録画ボタンが電源スイッチと一体になっている。スライド式スイッチで《Off-On-Rec》となっており、電源オフの状態からワンアクションで録画を開始できる。電源を入れた状態で待機させておく必要がないので、知らないうちにボタンが押されてモードが切り替わってしまうようなことがない。何よりバッテリーを消費しないというメリットがある。ポリスビデオ500HCも録画スイッチをセットした状態で電源を入れれば電源オフからワンアクションで録画可能だが、同じような形状の電源スイッチと録画スイッチが並んでおり、手探りでは慣れないと間違えやすい。
ポリスビデオ1000HCは大型化したボディーを活かし、液晶ディスプレイの大型化を実現している。この液晶はポリスビデオ500HCやポリスビデオ700HCの液晶に比べて、若干輝度やシャープさが増しているようだ。大型化とあいまって非常に視認性が良くなり、画質も上がっている印象だ。他の2機種に比べ映像の細かなところまで確認できる。撮ったその場で映像を確認する必要のある用途には非常に重宝するだろう。 ボディーが大型化したおかげで操作ボタンの配置も余裕のあるものになった。ポリスビデオ700HCと同様の操作系は非常にわかり易い。同じように頻繁に使う重要な機能には専用のボタンが割り当てられている。ただし、ポリスビデオ500HCとポリスビデオ700HCにあった、ワンアクションで電源オフから録画開始する機能がない。常に電源を入れてから録画ボタンを押して録画開始する必要があるのだ。ただこれはポリスビデオ1000HCの欠点というよりはコンセプトの違いなのだと思う。 ポリスビデオ500HCやポリスビデオ700HCのようなウェアラブルでの使用ではなく、一般的な意味でのモバイルでの使用を志向しているのだろう。だからこそ1000R Plusのようなオプションアイテムがポリスビデオ1000HCにのみ設定されているのだ。
本当にタバコの箱に入ってしまうのはポリスビデオ500HCだけ。ポリスビデオ700HCも充分に小さいが、目的によってはほんの僅かなサイズの差が成否を分ける事もあるだろう。
ポリスビデオ700HCは電源スイッチがスライド式で《Off-On-Rec》となっている。電源オフの状態からワンアクションで録画を開始できる。
ポリスビデオ1000HCはボディーが大きくなったがその分ディスプレイも大型化されている。他の2機種に比べ視認性が良いのでその場で映像の確認が必要な場合に重宝する。 ポリスビデオシリーズ比較検証のまとめポリスビデオ500HCはシリーズ中で最も小さく軽い。また本体から可能な操作が録画の開始と停止に限定されている。ある意味最もプロの道具らしい。どの分野でもプロというものは必要な機能と不要な機能を確実に見極め、大胆に割り切った道具を選ぶのだ。 ポリスビデオの開発を要請した某国警察機関の想定した使用状況とは、潜入捜査のようなものだったのかもしれない。例えば、捜査員の正体がばれるような危険性は可能な限り排除しながら確実に証拠を撮ることを目的とするならポリスビデオ500HCはまったくぴったりだ。 プロの捜査員でなくても現場で必要な機能を撮影のみと割り切って、少しでも小さく秘匿性の高いものを求めるならオススメだ。
ポリスビデオ700HCは最後発のモデルらしく洗練されている。ポリスビデオ500HCとポリスビデオ1000HCの中間として、普通なら中途半端になりそうなところを絶妙なバランスでイイとこ取りを実現しているのだ。 スペック的にはバッテリーの持ち時間以外に特に突出したところは無いのだが非常にバランスがいい。2時間のバッテリー持続時間と8GBまで対応可能なストレージ容量はたいていの用途に対応できるだろう。別の言い方をすれば応用範囲が広いということだ。実際、店頭でもサイズや記憶容量に対してシビアな要求が無いならポリスビデオ700HCをオススメすることが多い。もちろんバッテリーの持続時間が少しでも長いものを求めるならポリスビデオ700HCで決まりだ。
ポリスビデオ1000HCに関しては他の2機種とは若干コンセプトに違いが見られる。ポリスビデオ500HCやポリスビデオ700HCは秘匿性を優先しているのに対し、ポリスビデオ1000HCは機能性を優先しているようだ。例えるならば私服警官と制服の警官の違いと言ったところか。 「隠せる」という事ではなく「持って歩ける」ということに価値を見出し、記憶容量の大きさを優先するならポリスビデオ1000HCはオススメだ。 また、モバイル的な使用だけではなく、据え置きでの使用も検討する価値はある。
ここまでポリスビデオシリーズ3機種を比較検証してきて、その仕様の違いから想定される最適な使用状況が明らかになった。自分自身の状況と、製品の想定されている状況が一番重なる物を選ぶのが良いだろう。結局ポリスビデオシリーズの各機種間の相違は、どれが良い悪いといった問題ではなく、コンセプトの違いに帰結しているのだ。 ポリスビデオシリーズ 仕様対比表
<※1/2/3>8GB使用時の録画時間です。画面に表示される録画時間は予測値です。 <※4>ポリスビデオ1000HCでは、有線リモコンからの12V出力、及びAV入力となります。 <※5>電池寿命は目安です。電池の充電状態等により多少の変化があります。 2008.03.01 この記事で使用した商品
販売価格:78,000円 500と1000の間をうめる、ポリスビデオの進化系!
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